X線吸収スペクトル中に、光子干渉X線吸収微細構造(πXAFS)と名付けた未知の振動構造がある事を理論的に予測しました。その後、高精度のX線吸収スペクトル測定を行い、πXAFSの存在を実験的に確かめました。πXAFSは、吸収端をまたぎ広いエネルギー領域に現れます。このため、軽元素の局所構造を硬X線スペクトルから解析できるなど、応用上重要な性質をもっています。この研究は、X線吸収スペクトルという基礎的かつ長い歴史のある研究に、新たな知識を付け加えました。
図 光子干渉X線吸収微細構造(πXAFS) 白金のLIII吸収端よりもおよそ1.5 keV低エネルギー領域で観測されたπXAFS。 従来の常識では、吸収端よりも低いエネルギー領域では、吸収スペクトルには何の構造もないと思われていた。